No.48

コールセンターを改革する~その3~

コールセンターは離職率が恐ろしく高い。
入社から研修を経て着台するまでに半数程度が辞めてしまうこともある。
それは現場に入ってからも止められず
常時人が入れ替わっている状態も珍しくない。

ここまで壊滅的ではないにしろ現場管理者の離職率も高く、
このあいだ中、求人・採用・研修にコストがかかり続け
処理効率は低迷する。

確かに、研修部などを設置し新人のサポートに努めているところもあるが、
着台前に表れる多くの退職者は止められていないし、
その後の支援として導入されている社内ホットラインや
相談ツールなども期待する効果は得られていない。
なぜコールセンターの離職は止められないのか。


これらを解決しようとする時、
なぜかいつもコミュニケーターに的を絞った施策が講じられる。
遅刻欠勤、離職するのはコミュニケーターだからという理由かもしれないが、
センターがどう運用されているかを再考すれば
間違いに気づくことができる。

コールセンターは今どき珍しい上意下達の組織体だ。
この構造であれば現場に問題がある場合、
まず上から改革を行うのが相応しいし効果的だ。
なぜなら現場は上からの指示で動いている。
対策がうまくいかない時
コミュニケーターの欠点を指摘するより
施策自体の是非を問う必要がある。

ここで特筆すべき点は、
役職が上がるほど現場から遠ざかるが、
意思決定の権限は大きくなるということ。
つまり物事を決定している人たちは実情をよく理解していない可能性がある。
更に職種的にコミュニケーションを取り扱う仕事であるが、
社内の風通しはあまり良くない。
役職間や部署間、同じ階層同士でも協力体制が作られているとは言い難く、
その結果、分業すればその数と同等の軋轢が生まれる。

研修部の新人研修が
着台した後に受講者の安心と自信につながらないのは、
研修内容と現場の実情とに乖離があるからだ。
これは研修部と現場の確執を明らかにしている。

これらのシワ寄せの行先はコミュニケーターだ。
旧態依然とした組織体ではボトムアップは難しく次第に疲弊していく。
多くの従業員は現実にそぐわない指示や、
その人たちによってつくられる現場の体制・風土に不満を持ち辞めている。
残った従業員もやる気を失い最低のパフォーマンスで抵抗するため、
処理効率も上がらない。

もちろん上手く運用しているセンターもあるだろう。
そもそもコールセンターは多種多様な人がたくさん集まる
多大な可能性を秘めた職場だ。
衰退期に入り今後も起こるであろう不足の事態に備えるためにも、
多くの人が自由にリーダーシップを発揮できる組織体制を整える必要がある。